自閉症のピアニスト吉岡駿君

自閉症のピアニスト吉岡駿君

彼は、1999年生まれだったと思うので、現在25歳か26歳だと思います。

彼は、知的障害を伴う自閉スペクトラム症です。

吉岡駿君の演奏を初めて聴いたのは、彼が小学生の時のピアノパラリンピック全国大会だったと思います。

YouTubeでですが、久しぶりに彼の演奏を聴きました。

昨年は、茨城県でも何度もコンサートを行っていたようです。

現在は、福祉作業所に通いながらコンサート活動を続けていらっしゃるようです。

健常者と言われる人たちは、障害者を同情や哀れみを感じたりして上から目線で見てしまう人もいるように思いますが、当教室で学んでいる生徒さんよりもレベルの高い曲を弾いていますし、お上手です。

吉岡駿君の演奏を聴いていると、親御さんと指導者の深い愛情を感じます。

そして、続けることの大切さと、生きる意味や幸せとは何なのかを考えさせられます。

「老人は集団自決すればいいんだ」などと公の場で言った東大を卒業してアメリカの大学で准教授か何をしている人もおりましたが、彼の生い立ちから推察するに、人間の心と感性が育つ時期に親や大人からの愛情を得ることが出来なかった可哀想な人だと思います。

人間の心と感性は、幼児期に芸術に触れたり親や身近な大人たちと感動を共に経験ことで育つと言われますから。

でも、あのように考える人が医者だったらと思うと、ぞっとします。

障害者施設で元職員による無差別殺人事件があり、彼は死刑判決を受けましたが、殺人を犯した彼と、「老人は集団自決すればいいんだ」と言った東大を卒業してアメリカの大学で准教授をしている彼の思想は変わらないのではないかと思う。

このような人間の心と感性が無い人たちが社会に溢れたらどうなってしまうでしょうか?

芸術や文化は、人間が人間の心と感性を育むためになくてはならないものなのです。

ヒトラーのような思想の人が社会に増えたらどうなってしまうでしょうか?

障害児者にピアノを教えることを良しとしない人もいます。

私も散々悩んできました。

確かに、障害児者にピアノを教えるのは、ものすごく大変です。

先輩のピアノの先生方にもお話を伺いました。

その中で、共感を得ることが出来た先生がおりました。

相愛大学で長年教えていらっしゃいました音楽教育家の北村智恵先生です。

北村智恵先生の著書も全て拝読させて頂き感銘を受けました。

直接お話もさせて頂きました。

障害児者の指導で悩んだ時は、ご相談もさせて頂いております。

健常者であろうが障害者であろうが、ピアノを教える時に大切なことは、「保護者と価値観や教育観が一致していることが大前提」と言われました。

自分がどういう視点に立ち、どういう価値観・教育観でレッスンしているかということを、保護者に伝えること。

ホームページやブログで伝えているつもりなのですが、伝わっていない人もいるよう感じる方もいて、伝え方の難しさを感じています。

私は、音楽療法の概念でのレッスンは行っていないのです。

ピアノを弾けるようにレッスンすること。

ピアノを弾く本当の技術(テクニック)を教えること。

本当の技術(テクニック)とは、楽譜から読みとった音楽を、自分の指で紡ぎ、自分の思い通りの音で「表現)するために必要なことすべてです。

ただ速いテンポで指が回るだけで満足したり、それを目的にするようなことはしません。

自分の音をよく聴いて、趣味・専門に関わらず、その音楽に相応しい音質・音量で演奏ができること、音楽を深く学ぶことで本当の技術習得できるのです。

私は、どの生徒にも、心のこもった演奏ができるように本当の技術が身につくように決して妥協することなく指導をしております。

本当の技術を身につけるためには、感じる心、良い音を見極めることができる感性を育てることも必要です。

良い音は良い人間性からです。

以上のような価値観と教育観でレッスンを行っております。

吉岡駿君の演奏は、YouTubeでアップさせていますので聴いてみてください。

バロックから近現代、ポピュラーまで弾いています。