おはようございます。
ピアノ教師の結城美帆子です。
本日も結城美帆子ピアノ教室のブログご訪問頂き誠に有難うございます。
本日のテーマは、「ピアノ演奏動画」について私がいろいろ思っていることを書きたいと思います。
最近はコンクールの予選も動画審査があったりしますので、緊張感が強かったり繊細なお子さんは、動画審査は有り難いのではないかと思いますが、音楽の本質から考えると少々疑問が湧いてきています。
このモヤモヤの中で頭に浮かんだのは、ホロビッツです。
ホロビッツが1983年に初めて日本公演を行った時、音楽評論家の吉田秀和氏は、ホロビッツの演奏を「ひびの入った骨董」と評論したことは有名な話です。
ホロビッツは体調が良くなかった演奏だったとのことで、後日、ホロビッツ自身が自分の演奏を録画して吉田秀和氏に送られてきたそうですが、吉田秀和氏は「生演奏でなければ比較はできない」と聴かなかったそうです。
これが答えのように思いました。
私はリサイタルも数回行っておりますが、一度も自分のリサイタルの演奏動画を撮影したことはないのです。
レッスンは毎回録音していましたけどね。
リサイタルは、練習の集大成で全てなわけですから、それ以上になることも以下になることもないですし批評する必要もないと申しますか、全身全霊で行った演奏を批評されても意義がないと思いますし、今この時これ以上の演奏はないからです。
つまり、「一期一会」の精神です。
ステージ上では、一回きりの演奏しかできません。
一回きりの演奏に全てを出し切るのです。
生演奏と動画演奏は同じではないです。
生演奏は演奏する時はもちろんですが、聴衆として聴く時も緊張感がありますが、動画は緊張感無く聴けます。
要するに心を揺さぶられるのは生演奏です。
これこそが音楽であり芸術ではないでしょうか。
でも、録画ではあるけど、ホロビッツやリヒテル、グレン・グルドの演奏が聴けることは幸せです。
最後までお読み頂き有難うございました。
今日も素敵な一日になりますように!