素敵なピアノを奏でるには、豊かな知性と豊かな感性が必要です。
美しいものを、美しいと思える感性が必要です。
ピアノは、楽譜の通りに弾ければ良いと言うものではありません。
楽譜の通りに弾くのは、初歩の初歩です。
楽譜に書いてあることから、作曲家の想いを想像し、作曲家が望む音を一音一音魂を込めて弾くのです。
ピティナピアノコンペティション中学2年生以下のD級に中学1年生で参加される生徒さんですが、毎日1曲3時間の練習をしているようなので、楽譜の通りには弾けるようになったのですが、心が感じられない演奏なのです。
この生徒さんは、知的障害を伴う自閉スペクトラム症なので、目に見えないものの理解が難しく、「心ってわかる?」と聴くと、「わかりません」と答えます。
美しい音と汚い音の違いや、深い音と浅い音の違いも理解できないようです。
習い始めは、電子ピアノで練習をしていたので、タッチの違いも理解出来ないようです。
割り切れるものは、上級レベルの曲まで自力で譜読みは出来るようになったのですが、障がいの壁にぶち当たっています。
ラカン派の精神分析家の向井雅明氏は、著書の中で「自閉症者は心が無いわけではない」と書いています。
たくさんの自閉症者を指導した経験から、私も向井氏の意見に同感なので、色々な方法を試しながら頑張っています。
感性は、身近な人と感動をする経験で育まれると言われますので、親子で感動する経験をすると良いと思います。
WBCで感動した人もたくさんいたのではないでしょうか?
心を育むのに、動物や植物を育てるのも良いと思います。