ピアノの指導をする上で、人間の心と体の成長を知る必要があると思い、生理学と解剖学を学ぶことを目的として、准看護師養成所に通った経験があります。
心理学は音楽大学の授業でもありました。
ピアノ演奏で大切にしなければならないのは、手根骨の成長です。
手根骨は、8個あり、5歳くらいから成長し始め、8個が概ね出来上がるのが、女性は10.5歳・男性は12.5歳と言われていますので、それ以前は、あまり負荷をかけるような練習はしない方が良いと考えております。
練習をし過ぎて手を痛めたりしたら大変ですからね。
手根骨が出来上がるまでは、音感やリズム感などを育み、音楽の基礎を身につけるレッスンを行った方が良いのです。
私が、バステインメソッドを使わない理由は、手根骨が発達途上の小さい子どもの手で、三和音を弾かせるには無理があるように思うからです。
ピアノ演奏では、MP関節が重要で、MP関節が凹まないようにしなければならないのですが、そもそも骨が育っていないので無理なのです。
足のサイズが大きい子は手のサイズも大きいと言われているので、幼児でも足のサイズが大きい子は、年長さんくらいになれば和音が弾ける手のお子さんもおりますが、ピティナピアノコンペティションの就学前のA2級の課題曲の中には、三和音が出てくる曲もあり、手が小さいお子さんの課題曲選びは大変です。
骨や関節がしっかりしていない時に、無理にピアノを弾かせると、まむし指になったり、変な癖がついたりすることもあるので、慎重に指導をしなければなりません。
子どもの成長に合わせた適齢適期レッスンが重要なのです。
聴覚の発達は7歳くらいで臨界期を迎えるので、絶対音感は3歳4歳くらいからトレーニングを始めないと絶対音感は習得できませんから、7歳までは、音感教育やリズム感教育に力を入れると良いのです。
絶対音感やリズム感などの音楽的才能は、3歳位から7歳くらいまでが一番伸びるのです。
手根骨が大人と同じ8個レントゲンに写るのは5歳位と言われているので、個人差もあると思いますから、3歳から4歳5歳は譜読みとリズムと音感教育をして音楽の基礎を作り、5歳6歳くらいからピアノのレッスンを行うのが良いのではないかと思います。
1年も2年もレッスンを受けていて、音符が読めなかったり、リズムがわからなかったり、音感が身についていないというのは、あってはならないことと思います。
私の生徒さんでも、なかなか音符が読めるようにならない小さいお子さんがおりましたが、この生徒さんは弱視だったのです。
専門のお医者様の診察を受け、弱視が判明して、眼鏡をかけるようになってからは、低いところから高いところまでスラスラ良く読めるようになり、私がランダムにピアノで弾いた音をノートに書くこともできるようになりました。
レッスンを始めて3ヶ月が過ぎても、音符がスラスラ読めるようにならない場合には、何かしらの原因があるかもしれないので、よーく観察をして、場合によっては専門医の診察を受けた方が良い場合もあります。
小さいお子様は、自分で見えるとか見えないということがわからないので、周りの大人がお子さんの様子から気づいてあげることが大切なのです。
長年ピアノを教えていると、子どもの様子から知能指数もわかるようになってきました。
音符覚えるのが早い子は、ワーキングメモリーと知能指数が高い傾向にありますが、反対に、身体的に問題がなく音符を覚えるのが遅い子はワーキングメモリーと知能指数が低い可能性があります。
ワーキングメモリーと知能指数は、WISCの検査を受ければわかります。
一般のお子さんでも、自費になりますが検査は受けられます。
WISCは、脳の特性がわかるので、得意分野を伸ばしてあげることが出来ます。
最後までお読み頂き有難うございました。