人間の骨の成長から考えれば、手根骨が大人と同じ8本が出来上がるのは、男子が12歳くらいで、女子が10歳くらいです。
私が時々お世話になっている日本で初めて音楽家専門外来を横浜市立大学附属病院に立ち上げた酒井先生に「子供のピアノは何歳くらいから始めるのが良いのでしょうか?」と伺ったところ、手根骨が大人と同じにできるまではあまり無理をしない方が良いと言われました。
年少さんからコンクールに参加されたりしておりますが、子供の手の成長を考えたら弾かせすぎていたように思います。
手根骨ができるまでは、ソルフェージュとか基礎の指導を重点的に行った方が良いと思います。
手の骨が出来ていないのに、手の形や指の形、ピアノの弾き方を教えても、あまり意味がないような気がします。
骨が出来ていないわけですから、支えることができるはずないです。
ピティナピアノコンペティションの参加者を見ると、小学校卒業でピアノを辞めてしまう子供が多いように思いますが、これからいくらでも弾けるようになったら辞めてしまう子供が多いのじゃ悲しいですね。
出したい音が出せるのは、骨が成長してからです。
ピティナピアノコンペティションで、小学6年生で高校1年生以下のE級や高校3年生以下のF級で金賞を受賞している子もおりますが、手を痛めることはないのでしょうか?
成長期には、特に男の子は成長痛というものがあったりしますし、それは手にもあると思うのです。
女の子も小学四年生くらいになると、体調を崩しやすくなる子が出てくるのですが、初経を迎える準備なのだろうと思います。
初経を迎える一年位前から色々な変化が見られます。
変声期は男の子だけにあるのではなく、女の子にもあり、地声が出なくなるのです。
なんとなく喉に違和感があったり、声がかすれたりします。
第二次成長期に入ったら、ピアノ弾く手を作るのに最高の時期なので、ハノンやチェルニーなどバンバン弾かせるようにしています。
そうすることで、ショパンのエチュードが弾ける手ができます。
手を痛めず潰さないためにも、適齢適期レッスンが重要と考えております。
手根骨が大人と同じ8本出来上がるまでは、一日2時間以上弾は弾かせない方が良いと思います。
個人的には、毎日30分〜1時間程度練習できれば良いと思います。
プロとアマチュアは違うのです。
音楽科専門外来があるということは、故障している専門家がけっこういらっしゃるということです。
趣味で楽しむ方は、手を痛めるようなことはしないほうがいいと思います。
無理をしないで生涯ピアノを楽しみましょう!