ピアノの指導から思う脳の不思議

ピアノの指導から思う脳の不思議

下は1歳8ヶ月から上は84歳の方まで、健常者と言われる人から障害者と言われる人たちに、40年に渡りピアノを教えてきて思うことは、人間の脳の不思議です。

人間が生命を維持する為には、まずは心臓が動かなければならないから、生きるために一番大事なのは心臓です。

次に、より豊かな人生を生きる為には、脳が重要と思いました。

ピアノを上手く弾く為にも脳は大事です。

一回で音符が覚えられる人もいれば、音符の理解ができない人もいます。

子供大人関係なく指番号を覚えられない人もいます。

ピアノを弾く為には、楽譜を読んだり、指番号を覚えたり、数え方を覚えたり、たくさんのことを覚えなければならないので、ピアノは認知症の予防に効果があると言われているのではないかと思います。

ピアノを弾く為には、指を動かしますから、運動機能も重要です。

楽譜を読むのも、ピアノを弾くのも、全て脳で行っているのです。

なので、脳が壊れるとピアノは弾けなくなります。

脳に血液が行かなくなると脳は死んでしまいますから、脳に血液を送る心臓が大事なのです。

産まれながら知的障害の人は、学習を司る脳分野が何らかの理由で成長できなかったのかもしれませんけど、生命を維持する為に必要な脳分野は成長したと言うことなのでしょうね。

認知症は、反対に脳が壊れていくのでしょうね。

私は30年以上自閉症の子供にもピアノを教え研究してきましたが、高次脳自閉症(アスペルガー型自閉症)の子供は、専門医の診断を受けることはまずないので、私から観て高次脳自閉症の特性があると思った生徒さんの共通していることは、何だか分かりませんが、突然スイッチが切れる時があり、レッスン中であっても、本人の頭は別な世界に行ってしまうような感じに見えます。

そう言う時は、以前は、「集中しましょう」とか申し上げていましたが、今は、意識がピアノに戻ってくるのを待つようにしています。

私は医師ではないので経験からの想像ですが、脳の神経伝達の異常が起こっているような気がします。

多分、ドパミンが原因しているのではないかと思います。

生徒さんによっては、ピアノを弾きながら突然眠ってしまう子や、ピアノを弾いているのにお漏らしをしてしまった小学3年生もおりました。

お漏らしというレベルのお小水の量ではなく多量でした。

異常が起きている時の脳波や、睡眠中の脳波検査をすると何らかの異常が出るかもしれませんね。

でも、少々変わった生徒さんたちって、暗譜をするのが比較的早いように思います。

一般的な生徒さんは、こちらから「暗譜をして弾けるようにしましょう」と促して暗譜をする子がほとんどですが、高次脳自閉症の特性があると思った生徒さんは、こちらが暗譜と言わなくても暗譜が出来ていることがほとんどです。

多分ですが、彼らの集中力がすごいのではないかと思います。

ピアノ以外の分野でも、その分野ですごいと言われる人の中には「ちょっと変わった人」と言われる人っていると思います。

腕の良い外科医が、人間的にも優れているとは限らないですし。

他者に心が読めなくても、他者の心の傷みがわからなくても、私は腕の良い外科医に手術して欲しいと思います。

30年以上も自閉症の人たちと交流を持っていると、自閉症の世界は決して悪くないと思うのです。

他者の心が理解できなくても、他者を傷つけなければ良いと思います。

高次脳自閉症の人は、外科医や画像診断が得意な放射線科医とか、研究職に就いたら素晴らしい能力を発揮できると思います。

音楽の分野でも活躍している高次脳自閉症の人がいます。

彼らの集中力はすごいです。

自閉症の特性をわかった上で導いてあげれば、社会性をを身につけることもできますし、音楽的能力を開花させてあげることも可能です。

自閉症に人は、ロマン派の曲を理解するのは難しいようですが、これも経験からですが、バッハは上手いです。

自閉症のピアニスト、グレン・グルドのバッハは素晴らしいですからね。

結城美帆子ピアノ教室では、高次脳自閉症のお子様のレッスンも行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

みんなが幸せに生きられる社会になりますように!