昨日、敬愛する北村智恵先生が主催されている「ちえの輪倶楽部」の会報が届きました。
「ちえの輪倶楽部」の会報は、私にとって心の栄養剤になっています。
考え方が合う人が一人でもいると、どんなに心が折れそうになっても頑張れます。
「ゴールの見えない人生」と題して、コロナワクチンを開発してノーベル医学賞を受賞した二人のうち、米国ペンシルベニア大学教授カタリン・カリコ女史について書かれていました。
『彼女が「研究」について語った言葉は印象に残った。
………自分がやっていることを楽しめないなら、研究などやるべきではない。スポットライトを浴びたいなら俳優か芸人、パフォーマーになれば良い。科学者は、「問題解決」が好きな人のみに向いている。死ぬまでやる・やり続ける、という人間でなければできない。………という言葉だった。そしてそのあと女史の娘が語った言葉はもっと印象に残った。幼くて、そうとは知らず1,000ドルを埋め込まれた大きなクマのぬいぐるみを抱いて、海を渡った娘は、アメリカで育ち、ボート選手になった。オリンピックでも2度金メダルを受賞したという。今、大人になった彼女が言った。「ボートを漕ぐのは後ろ向き。自分でゴールが見えないからこそ、信じ続ける強い心が要る。いつかゴールに着く、と信じて漕ぎ続ける強い心がなければできないことです。」
この母にしてこの子あり、だと思った。
教育とはこういうものなのだろうと心の底から思った。
いわゆる畑違い、異なるジャンルではあるが、ゴールが見えなくても、すぐには結果が出なくても、やっていることの意味を信じて、やり続けることの大切さを我が子が学びとり、別の道でそのように生きている。
その姿を見守る側の親としては、如何なる研究で如何なる成果を上げることよりも、人として幸せに思えることなのではないか、と、ふと思ったりした。
見えないどころか、ゴールのない人生を誰もが生きている。
それは、「結果」よりも、「今」をどれだけ大事に思い丁寧に生きるか、ということによって、人間にとっての幸・不幸が決まるということに他ならない。』
どのような能力の子も、その子にとっての自分らしさを守って育てること、そして自分の音楽を押し付けるのではなく、生徒が自分の個性で演奏できるように導くこと。
教えてはならないことと教えなければならないことをわきまえること。
そして、子どもたちをみくびらない!心の真ん中に置くこと。
私たちは、ピアノの技術や音楽を教えることに重きを置いてしまいますが、ピアノを通して人を育てる、そのことが真の音楽教育であるということを忘れずにいたいと思います。
これからも教育者として子どもたちが幸せに生きるお手伝いができるように精進していきたいと思います。