40年近くピアノの指導をして来て思うこと。結城美帆子

私がピアノの先生になったのは、私にピアノを教えてくれたピアノの先生に憧れたからです。

私も〇〇先生のようにピアノの先生になりたいと思いました。

とても美しくて、きれいな声で、憧れました。

私は、ピアノを教えたくてピアノの先生になったのです。

教え始めは、私がピアノの先生から教えて頂いたと同じように同じことを教えておりましたが、生徒たちは全く上手く弾けるようになりませんでした。

私はバイエルを学んだので、私も教えるときに生徒たちにバイエルを与えたのですが、自分が教わったように教えたのですが、弾けるようにならなかったのです。

「どうして出来ないなだろう」と悩み、ピアノを教えるのをやめようと考えたこともありました。
大手楽器店でピアノとエレクトーンの講師をしたこともありました。

「自分にはピアノを教えるのは向いていないのかもしれない」と思い、福祉の勉強を始め、3年間障害者施設や老人ホームで介護の仕事を致しました。

介護の仕事をしている時に、ストレスで逆流性食道炎を発症してしまい、介護の仕事も続くられなくなったのです。

ピアノを教えることも、介護の仕事も、私が行き詰まった元になったのは「人間て何なの」と言うことでした。

その頃、私が音楽高校でお世話になった秋山先生が定年退職され時間が出来たのではないかと思い、相談に秋山先生のところへ伺いました。

秋山先生のアドバイスを受け、自分自身もレッスンを受けながら、ピアノとエレクトーンの出張レッスンを始めました。

教えることって、とっても難しいです。

教え方のセミナーへも行きました。

そして、たどり着いたのが、ピティナピアノコンペティション全国大会出場者No. 1の渡部由記子先生でした。

導入期のレッスンでは、渡部由記子先生の指導方法が1番わかりやすく教えやすいと思いました。

ただ、生徒みんながピティナピアノコンペティションで全国大会出場を目指してピアノを習いに来るわけではないと思うので、渡部由記子先生のやり方をすべて真似するわけにもいきませんで、またまた悩みました。

渡部由記子先生の生徒さんたちは、皆さん全国大会出場を目指しておりますから当たり前のことなのですが、幼児でも平日は5時間から6時間練習して土日は12時間練習してするのです。

私は、一貫して、とにかくピアノを好きになってもらい、ピアノを生涯楽しんで頂きたいと思って、一生懸命に教えて来ました。

ピアノを途中でやめてしまうのは練習が嫌なのだろうと思い、家での練習は自由にしたことがありましたが、そしたら本当に全く練習をしてこなくなってしまって、ピアノは練習しなければ弾けるようになりませんから、弾けるようにならなければ楽しくないですから、結局ピアノが上手く弾けるようにならずにやめる生徒が多くなってしまいました。

練習をしてもらおうと、せめてレッスンに来る時間を練習の時間にあてて貰えば練習をして頂けるのではないかと思って、出張レッスンをしていたこともありましたが、結局私がレッスンに伺うちょっと前に少し練習をするだけの人がほとんどでしたので、意味がありませんでした。

ピアノは、習い始めから練習の習慣を身につけなければ、生涯ピアノを楽しく続けるのは無理と言う結論に達しました。

子供の場合は、ピアノの練習の習慣が、勉強の習慣になるのです。

最近の企業の採用の面接試験で「長く続けて習い事や経験はありますか?」と聞かれることが多いと聞きます。

ピアノが上手く弾けるようになるには、長く続けなければなりませんので、おのずと継続力が身につきますから、ピアノが上手い人は、忍耐力や継続力が有りやり抜く力が有る人と判断され、良い評価を得られるようです。

音大卒業生は、礼儀も正しく忍耐力や継続力も有りやり抜く力が有るので、一般企業からも引く手あまたと聞いております。

これこそが、ピアノを習う良さと申しますか、ピアノを習う付加価値なのではないかと思います。

私がピアノを教えたい理由は、今も一貫して「ピアノを好きになってもらうこと、ピアノを生涯楽しんでもらうこと」に変わりはありません。

ピアノが上手に弾ける人は、他者の心の痛みに想いを馳せることができる思いやりが有り礼儀正しく忍耐力や継続力が有りやり抜く力が有る人です。

生きていく上で大切なのは、どんな困難な状況にあっても、乗り越えることができる柔軟な心と精神力と判断力そしてやり抜く力ではないでしょうか。

ピアノが上手に弾ける方になった人は、ピアノを習った付加価値として、生きていく上で大切なことが身についているはずです。

あと何年ピアノを教え続けることができるかわかりませんが、ピアノのレッスンで、他者の心の痛みに想いを馳せることができる思いやりが有り礼儀正しく忍耐力や継続力が有りやり抜く力が有る人を育てたいと思います。

生徒さんの毎日の練習時間を考慮して、チェルニーやハノンをやらないでレッスンをしていた生徒さんたちもおりましたが、ピアノが上手く弾けるようになるには、ハノンやチェルニーは絶対必要ですので、これからは、全ての生徒さんにハノンとチェルニーもレッスンします。

ピティナピアノコンペティション全国大会出場を目指す方は、毎日5時間から6時間の練習が必要ですが、地区予選入選程度を目標にされる方は、初級は毎日30分程度、ブルグミュラーレベルからは毎日45分から1時間程度、チェルニー30番からは毎日90分から2時間程度の練習でじゅうぶんです。

障害がある方は、レッスンの目的や目標により異なりますが、健常者と同じ土俵で生きていくことを目標にされる場合は、相当の努力が必要ではないかと思います。