生活保護を受けている生徒さんのピアノレッスン

生活保護を受けている生徒さんのピアノレッスン

保育士さんで保育園でお仕事をされていた方ですが、うつ病を発症され、お仕事が出来なくなり、生活保護を受けているとおっしゃる方から、お問い合わせのお電話を頂きました。

まだ二十代でお若い方でした。

私は、ピアノを習いたいと願う全ての方にレッスンをすることを信念としておりますので、レッスンをお受けすることにしました。

児童養護施設で暮らしている子供たちに対しては、慈善活動として無料でレッスンを行っておりますが、お金の支払いには色々な意味がありますので、生活保護の方には、お支払いが可能な範囲内でお支払いをしていただく様にしております。

レッスン料を無料にしてしまいますと、対等な関係性じゃなくなってしまい、生徒さんの成長を妨げることになるからです。

私は、長年ラカンの精神分析を学び、自ら精神分析を実践する教育分析なるものも10年にわたり受けておりますので、意識をしなくても精神分析の観点から相手を見てしまいます。

お金を支払うということは、生徒さんも指導者も、お互いに責任が生まれるということです。

しかし、生活保護を受けている方は、色々な制限があり、ピアノのレッスン料は残念ながら認められないと思いますので、生活の中で、例えばですが、テレビを観るのをやめることで、テレビを観る為に使われていた電気料金が安くなると思うので(微々たる料金だと思いますが)、その分の料金でレッスンを受けて頂くとかしております。

精神分析は、人間を成長させる為にあります。

何かを欲しい時、何かを諦めることで手に入れることが出来たとしたら、手に入れたものの価値は大きくなりますが、なんの苦労も無く手に入れたものには、さほど価値を感じないのではないでしょうか?

コンクールのトロフィーは、お金では買えません。

コンクールのトロフィーは、努力をしないと手に入れることができないから、価値があるのです。

何の努力も無しに手に入れたものは、価値が無いどころか消えてしまいます。

話はそれましたが、私は心を病んでいる方に、ピアノはとても良いと思っています。

私は、精神分析的なカウンセリングもできますので、お話を聞きながらピアノのレッスンを行っております。

この生徒さんは、うつ病が良くなり、復職され生活保護からも抜け出すことが出来ました。

心を病んだ時、一番必要なのは、ただ話を聞いてくれる人がいることではないかと思います。

アドバイスや指示は、むしろ邪魔になります。

ロジャース派で使われている「共感」も私はいらないと思っています。

人はそれぞれですから、私は「あなたのお気持ちわかります」とか言われると「あなたに、私の何がわかるの?」とかむかついちゃいます。

ラカン派の精神分析家は、共感は致しません。

クライエントに寄り添い、ただ話を聞いて解釈をして、クライエントが自分を知り自分の生き方を見つけることができるように導くだけです。

ピアノの指導も同じで、基本的な弾き方は教えますが、生徒さんに寄り添い、生徒さんが自分で考えて自力で弾けるように導くだけです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

今日も希望に満ちた素敵な一日になりますように!