ピアノの先生とは?

ピアノの先生とは?

単なる「ピアノの弾き方の教え屋」であってはならないと考えています。

生徒一人ひとりの演奏についても、人間にとって音楽がどうあるべきなのか、そのあり方に対しても、妥協することなく、日々理想を求め続ける人間でなければならないと思います。

同時に、一人ひとりの生徒に、音楽を通して人としての大切なこと(誰もが自分らしく生きていくための表現や感性、共感力などのコミュニケーション能力の大切さ、その為に礼儀や社会性、等々)を伝え続け、相手を育てていく視点も重要と考えています。

つまり、ピアノの指導者は、自分自身が常に「音楽家」でなければならず、常に「教育者」でなければならないのです。

今日は、自閉症スペクトラム症で支援級で学んでいる小学一年生のレッスンがありました。

ラカン派の精神分析家の自閉症についての論文を読むと、「自閉症者は去勢を免れている」と言うものがあります。

今日の自閉症の生徒さんのレッスンで、実感しました。

今日は、8回目のレッスンでした。

とても頭の良いお子さんで、譜読みも規則を教えると自分で考えて読めるようになりました。

今日は、始めて壁にぶつかりました。

今日のレッスンは、メトードローズの2過程の一番でした。

私のレッスンでは、ピアノを弾く前に、楽譜に書いてある全てを言葉で言って、意味も言わせて、覚えさせるのですが、「4分の4拍子は一小節の中に四分音符が四つ分入っていること」が覚えられず、「ながくてわかんない」と不貞腐れてしまい、鍵盤に左足を乗せたのです。

その後、指導者の私に対して、悪態を吐きました。

定型発達のお子さんであれば、「お帰りください」で済ませますが、自閉スペクトラム症と言う発達障害のお子さんの場合には、発達障害の改善も指導目的としておりますので、「お帰りください」とは申し上げません。

発達障害の具体的な改善とは、ピアノ学習を通して、単にピアノが弾けるように教えるだけではなく、社会の中で生きて行くために最低必要な礼儀や社会性を身につけて頂くことです。

教えを受ける態度というものもあります。

生徒がお教室をやめるのを怖がって指導者が生徒に融合したり、間違ったことをしても許してしまうなど忖度をしたら、ピアノのレッスンの価値が無くなってしまいます。

間違ったことをしたら謝る。

悪いことや失礼なことをした時も謝る。

それは、円満な社会生活を送るためのルールです。

そういうことが出来ないと、誰からも相手にされなくなってしまいます。

一人で孤独が良いという人はそれでも構わないと思いますが、人間は一人で生き死んで行くのは難しいと思います。

私は、「嫌だな」とか、苦手な人とは付き合わないようにしているのですが、挨拶くらいはするようにしています。

ピアノのレッスンでも、体験レッスンで考え方と言いますか向かっている方向が違うなぁと思った時は、レッスンをお引き受けしておりません。

理念や教育方針が合わないと、生徒さんを成長させるレッスンが出来ないのです。

というわけで、まずは、お教室の決まり(ルール)を守ることを学んで頂きます。

社会の中で生きて行くために一番大切なことは、ルールを守ることです。

ルール(法律)を守らなかったらどうなるでしょうか?

私がお世話になっている弁護士さんのお話ですと、殺人を犯した場合、統合失調症は責任能力無しで無罪になり精神病院に措置入院となる可能性があるけど、発達障害は死刑判決が出るとのことです。

どちらにしても法律を守らないと、自由を奪われ、場合によっては命も奪われると言うことです。

40年以上もピアノ教師をしていると、色々な生徒さんに出会います。

授業中に、気に入らないことを言われたからと、その子の背中に向けてハサミを投げてしまった生徒さんがおりました。

喧嘩の仲裁に入って、後ろからカッターで背中を切りつけられ20針も縫う怪我をさせられた生徒さんもおりました。

学校で、お友達をグーで殴ってしまった自閉症の生徒さんもおりました。

カッターで背中を切りつけられた生徒さんのお母様は、「障がいがある子を普通のクラスで一緒に学ばせるのは絶対に反対です」と仰っていました。

もしも、背中ではなく、頸動脈を切られていたらと思うと、、、、、、

このような事件が起きないように、発達障害の子どもに支援員をつけているのです。

お子さんが幸せな人生を送ることが出来るように、まずはルールを守らせましょう。

IQが70以上のお子さんであれば、良いこと悪いことの判断は出来ますから教えましょう。

ルールを守らなかった場合には、ペナルティーを与えましょう。

子どもは、育てたように育ちます。

私の教室には、長く教室に通ってくださっている自閉スペクトラム症の生徒さんがおりますが、ピアノもお上手になり、みんな良い子に育っています。

発達障害のお子さんを育てている親御さんに、信州大学教授本田先生の「にじいろ子育て」をお勧めします。

著書もありますが、YouTubeもあります。

発達障害のお子さんへの接し方や対応の仕方が分かりやすく書かれています。

障害者が幸せに暮らせる社会は、誰もが自分らしく幸せに暮らせる社会です。

音楽で、誰もが幸せに暮らせる社会を実現させましょう!