学生の時は、バッハがあまり好きではありませんでした。
二声のインベンションは、まあなんとかでしたが、3声のシンフォニアに入ってからは、内声をどっちの手で弾けば良いのかわからなくて苦労しました。
先生が譜読みを教えてくれると言うことはありませんでしたので、色々な出版社の楽譜を買い込み勉強しました。
40歳を過ぎた頃、プライベートで大変な時でもあったためか、心の平安を維持するためにバッハを弾くようになりました。
生徒さんをピティナピアノコンペティションやバッハコンクール・ショパン国際ピアノコンクールin Asiaなどに参加させるようになり、課題曲のバッハを教えるため学び直しを始めました。
バッハは、色々な弾き方があって、テクニックがあればグレン・グルドのように演奏して欲しいと思いますが、生徒さんのテクニックでグルドの演奏は難しいです。
音楽大学の学生がグルドに、「先生のように上手く弾けるようになるには、どうしたらいいのですか?」と聞いたら、グルドは「全てを諦めてひたすらピアノを弾くことだよ」とお答えになられたそうです。
テクニックをつける為には、ハノンやチェルニーを学んだ方が絶対良いのですが、今の子供達は、色々な習い事や塾で、毎日5時間も6時間もピアノの練習をするのは難しいと思うので、できる範囲での指導になります。
指や腕のコントロールが出来るようになり、音を創れるようになってから、コンクールへ参加させた方が良いのかもしれませんね。
ピアノは、楽譜を読み、何の音を何番の指で弾くためには、指をどのように操作すれば良いのかを考え音を出します。
車の運転は、「認知・判断・操作」の繰り返しですが、ピアノも同じです。
車の運転事故の原因は、認知(信号を正しく見たか?)・判断(止まるのか進むのかを考え判断?)・操作(アクセルかブレーキを踏む)のどれかのミスです。
ピアノが上手く弾けない時は、楽譜が読めないか(認知)、正しい指で正しい音を弾けたか(操作)のどちらかが出来ていないのです。
操作は、最初は隣の指を動かすことから始まり、同じ音を一度と数えますが、隣の音は2度で、3度、4度、5度と手を見ないで動かすことができるまで繰り返し行います。
5本の指が定位置で動かせるようになったら、次は、広げると言う操作を学びます。
広げる操作の反対は、寄せるです。
広げると寄せる操作ができるようになったら、指くぐりと、くぐるの反対はまたぐです。
ピアノは、広げる・寄せる・くぐる・またぐ、➕ポジション移動の操作で弾けます。
ミスをする場合は、上記を照らし合わせて原因を考えましょう。
原因がわかれば、ミスがなくなります。
以上は、機能的な事についてです。
コンクールで演奏をする時は、機能的なことだけではダメで、音を創ることが求められます。
ここが難しいところです。
楽譜の通りに弾くだけであれば、さほど難しいことではないのです。
音を創るとは、音楽を創るということです。
音楽の本質とは、音で何かを表現することです。
ピアノを通して、自分の気持ちを表現できたらいいですね。
言葉の理解がなくても音を紡げば言葉の壁は吹っ飛んでしまいます。
世界中の全ての人が音楽で繋がることができたら素敵ですね!