障害があるお子様のピアノのレッスンについて。結城美帆子

私の教室には、自閉症スペクトラムやダウン症、知的障害、視覚障害、学習障害のお子様もレッスンをしております。これまで教えて参りました多数のお子様は、バイエル程度は弾けるようになっております。ピティナピアノコンペティションで地区予選を通過できた生徒や検定優秀賞を受賞した生徒もおります。しかし、残念ながら、全員の生徒が上手く弾けるようになったわけではありません。ピアノを弾くと言う作業は、健常者でもけして簡単な作業ではありません。ピアノが上手く弾けるようになるには、毎日のたゆまぬ努力が必要なのです。ピアノが上手く弾けるようになっているお子様は、本人が努力をできるように、お家の方が相当サポートをしているように見受けられます。上手く弾けるようにならないお子様の親御さんは、レッスンを見学している時に、居眠りをしていたり、スマホをいじっていたりして、お子様のレッスンを見ておられない方もおります。考え方の相違だとも思うので、何とも申し上げられないのですが、悲しくなります。子供って、一生懸命なところを親に見て欲しくて、一生懸命にピアノの練習をしている場合もあります。親が気になるのか、ピアノを弾いている時、親の方をチラチラ見るお子様もおります。子供は、親に見捨てられるのが一番怖いですから、親に自分の存在を認めてもらおうと一生懸命なのです。親の愛情を実感できた子供は、いずれ、親元から飛びたって、どんな荒波をも乗り越え、自分の人生を生きて行くことができる人に育つと思います。そして、時が至った時、親の幸せな最期を考えられるような人に育つことでしょう。私は、ピアノのレッスンを通して、思いやりのある優しい心も育てたいと思っております。自分が幸せならば、親を老人ホームへ追いやってしまうような人に育って欲くありません。自分さえ良ければほかの人はどうなっても構わないと思うような人に育って欲くありません。優しい心がなければ、優しい曲は弾けません。曲を作ってくれた作曲家に、感謝ができない人は、人の曲を弾かせてもらう資格はありません。他者の気持ちを理解しようとしない人に、他者が作曲した曲を弾かせてもらう資格はありませんし、たとえ弾かせてもらうことができたとしても、人の心を感動させるような演奏ではなく、傲慢な演奏しかできないでしょう。みんなが幸せに生きられることを望みます。