褒めて育てると言うけれど。結城美帆子

褒めて育てると言うけれど、なんでもかんでも褒めれば良いと言う事ではないと思います。褒めて育てると、褒められないことは、やらないようになってしまうようです。また、自分で間違っていたことに気が付いても、間違ったことに気が付いて正しく直すことができても「これこれこう言う理由で間違っていたけど、これこれに気が付けたから間違いに気が付いて正しく直すことができた」と、どのように正しい答えが導けたかを言えないのではないかと思うのです。初歩のピアノのレッスンでよくあることなのですが、ヘ音記号なのにト音記号で読んでしまうとか、左手はヘ音記号と思い込んでしまっているためか途中でト音記号が書いてあるのにもかかわらずヘ音記号で読んでしまうとか、左手の2番で弾くように指番号が書いてあるところを「ファ」と弾くべきところなのに右手の指使いで弾く音「レ」を弾いてしまったりするのですが、間違いの原因はどちらも楽譜を正しく見ることができていないからなのです。ピアノを弾くと言う操作は、目で見て、頭で理解して、頭から「なんの音を何番の指で何拍の長さで弾きなさい」と指令を出して、操作(音を出す)をしての一連の捜査の繰り返しで弾きますので、ピアノを弾くと言うことは、非常に大変な作業をしていると言うことなのです。車を運転する人は、事故を起こした場合は必ず原因があるということを言われたと思いますが、ピアノを弾く場合も間違って弾いて場合は必ず一連の捜査のどこかに原因があるのです。自分自身で原因を見つけて直せるようにしてあげないと、レッスンに通うのをやめたらピアノが弾けなくなる、と言うことになりかねませんので、私のレッスンでは、すぐに間違いを教えてしまうのではなくて、自分自身で間違いに気が付いて自分自身で正しく直すことができるようにしているのですが、正しく直すことができても、どこをどう言うふうに間違っていたか、どう言う理由で間違って弾いてしまったかを、聞いても言えない子供や大人の生徒さんたちが増えております。上手に弾けるようになる最初の一歩は、違い、間違いに気がつくことができることなのですが、「間違うと叱られるとか、間違うことはいけないこと」とか無意識に頭のどこかにインプットしている場合、気が付いても「間違ったことは、なかったことにしよう」と無意識に脳が働いてしまい、本人は、本当にどこが間違っていたのか忘れてしまうこともあるようです。ピアノのレッスンを受ける上では、けして間違いは悪いことではありません。間違いに気が付いて直せることが大切なのです。