自閉スペクトラム症によく見られる特性

3人の子供がいたとします。

最初の子供に「あなたは何年生?」と聞くと、「小学校3年生です」と答えました。

次の子に「あなたは?」と聞くと、「4年生です」と答えました。

ところが、次の自閉スペクトラム症の子供に「あなたは?」と聞くと、しばらく考え込んでから「ぼくは茨城県に住んでいるよ」と答えました。

つまり、最初に「あなたは何年生?」と聞かれたら、私たちはそのあとに、「何年生?」と言う言葉が省略されていても推測して考えることができますが、自閉スペクトラム症の子供は省略されたもの(=ないもの、示されていないもの)を推測して考えることができません。

「あなたは?」と言われたことだけを手がかりに、「何か自分のことを言わなくては」、と質問の意図とは無関係に話してしまうのです。

「テーブルの上にあるそれを取って」、「用意はできた」と言われても、自閉スペクトラム症の子供は、戸惑うだけです。

テーブルの上にある「それ」とは何かに、何の用意ができたのかといった曖昧な言葉の意味が理解できないからです。

普通の子供は、お母さんがテーブルの上の食器を片付けたら、テーブルの上のものは、食器を指しているとわかります。

しかし、自閉スペクトラム症の子供は、テーブルの上にはテレビのリモコンもあるし、新聞もあるし、、、、、と具体的に何を指しているのかわからないのです。

同じように、「きちんと片付けなさい」と言われても、何をどのように片付ければいいのかイメージができません。

「きちんと」とか「しっかり」「すぐに」「気をつける」など、絵にしにくい曖昧な言葉や、「男の子でしょ」「女の子でしょ」「そろそろ時間でしょ」という遠回しな表現を理解しにくいという特性を持っています。

自閉スペクトラム症の子供は、代名詞や省略した言葉遣いが理解できないようです。

動物園に行った時、お母さんが「ウサギさん、かわいいね」と子供に話したとします。

すると、子供にとってかわいいのはウサギということになります。

そのあとで、別の人から「このネコ、かわいいね」と言われると、かわいい=ウサギと理解している子供は混乱して、思わず「耳が違うよ!」と言ってしまったりします。

相手は、「この子は何を言っているの」と当惑します。

でも当の本人は、「かわいいというのはウサギのことだ。これはネコでウサギではない。だからかわいいというのはおかしい。それに、このネコとウサギは耳の形も違うじゃないか」と思っただけなのに、なぜ自分の言っていることがわかってもらえないのだろう、といら立ちます。

このようなことは、普通の2歳〜3歳くらいまでの子供にも見られることです。

定型発達の子供の場合でも、幼児は体験が乏しく、自分の視点からしか考えることができないからです。

自閉スペクトラム症の特性を持つ子供は、学童期になっても、幼児のような一方的な視点と言葉の意味の広がりを理解することの困難さを持ち続けている、とも言えるのかもしれません。

自閉スペクトラム症の子供は、視覚的手がかり(消えてしまわない手がかり)があると理解しやすいようです。

自閉スペクトラム症の子供は、同時に二つ以上のことをすることが苦手です。

授業中に、先生の話を聞きながらノートを取ることも、同時に二つの作業をするので、自閉スペクトラム症の子供には大変な作業なのです。