精神分析的アプローチによる自閉症児へのピアノレッスンの効果。結城美帆子

1回60分の精神分析的アプローチによるピアノレッスンを始めて10ヶ月が過ぎた自閉スペクトラム症の〇〇ちゃん小学一年生の心理検査報告書を拝見させて頂きました。

前回の検査結果と比べると、知能指数(IQ)の数値が高くなっており、今回は療育手帳の交付は受けられなかったとのことです。

支援を受けなくても生活が可能と判断されたことは、喜ばしいことと思います。

心理検査では、知能指数や言語理解能力・知覚推理能力・ワーキングメモリー・処理速度能力などが数値化されます。

心理検査が全てではないと思いますが、子供の特性を見極める方法の一つとしては悪くないかもしれません。

面談式の心理検査は、検査者の影響も多少あるように思います。

私の教室には、医師の診断は受けていないが、自閉スペクトラム症かなと思う生徒さんが数名おります。

つくば市で教室を開室して20年ですが、私が自閉スペクトラム症を疑って専門の医師の受診を勧めて受診された生徒さんは、これまで全ての生徒さんが自閉スペクトラム症の診断を受けております。

自閉スペクトラム症は、一般のお子さんとは違う特徴があるのです。

知的障害を伴わない自閉スペクトラム症の場合は、親でもわからないかもしれませんが、精神分析的な観点から観察をするとわかるのです。

以前は、診断を受けたほうが良いと思い、疑われる生徒さんは受診をお勧めしましたが、診断を受けたからといって医師が自閉スペクトラム症の治療をできるわけではないので、今は親が受診を望まなければ受診を勧めることはしません。

自閉スペクトラム症であっても、その子が自分なりの方法で生きていけるように導いてあげれば良いと思うのです。

精神分析は、自分は何者なのかを知り、自分なりの生き方を身につけていくことができます。

私のピアノのレッスンは、精神分析を応用したレッスンです。

たえず主体に帰します。

精神分析家は、カウンセラーと違って共感もしませんし、自分の意見を言うこともしません。

精神分析は、たえず自分で考えることを要求します。

私のピアノのレッスンでも、たえず考えることを要求します。

自閉スペクトラム症は、主体を奥深くにしまい込んでしまっているので、まずは主体を引き出してあげる必要があるのです。

主体を引き出して伸ばすことができれば、自閉スペクトラム症でも、社会の中で自立して(自分の力で稼いで)生きていくことができると思います。

世の中には、自閉スペクトラム症でも、自立して立派に生きている人たちがたくさんおります。

自閉スペクトラム症の人は、自分の全てを受け入れてくれる人が一人でもいれば、それが心の支えとなり社会の中で自立して生きていくことができます。

私は、その一人と思っております。

微力ですが、ピアノのレッスンを通して、ピアノと共に自閉スペクトラム症の人たちの心の支えとなるように、生涯に渡りこの身を捧げたいと思っております。