発達障害とピアノ指導

発達障害とピアノ指導

自閉スペクトラム症は、発達障害と言われますが、発達障害のお子さんのピアノレッスンを引き受ける時は、指導者自身がお子さんの能力と特性をよーく見極めることが重要になります。

親御さんからのリスニングではわからないことがたくさんあります。

障害があるお子さんの親御さんが体験レッスンをお申し込みの際に、ほとんどの親御さんは「軽度の発達障害があります」とおっしゃるのですが、実際にお目にかかってお話をしたり体験レッスンを行うと、軽度とは思えないお子さんが多いです。

発達障害と知的障害は、しばしば併存することもありますが、日本の法制度上では、知的障害と発達障害への支援はそれぞれ別々に定められていて、習得できる障害者手帳が異なります。

法制度だけをみていると、知的障害と発達障害はまったく別物のように感じるかもしれません。

しかし、実際には関連することが多いのです。

精神医学で用いられるICDとDSMの2つの診断分類の最新版では、知的障害と発達障害が「神経発達症」と言う同じグループにまとめられたので、今後はそのような形で各制度が整理・統合されていくこともあるかもしれません。

知的な発達の遅れは、DSMの第1版(1952年)では「精神薄弱」として分類されていました。

その後、第2版(1968年)から第4版(1994年)では「精神遅滞」と記載され、19年ぶりに改訂された最新の第5版(2013年)で「知的発達症」となりました。

IDCの最新版では「Disorders of Intellectual Development 」

DSMの最新版では「Intellectual Developmental Disorder 」

と記載されていて、日本語訳が「知的発達症」です。

医学による最新の定義によると、重症度を「概念」「社会性」「実用」の3つの領域で、総合的に検討することになっています。

医学用語では「知的発達症」と言い、行政用語では「知的障害」と言っています。

医学と行政でも言い方が異なりますし、重症度も現在は数値では表さなくなっているので、発達障害のお子さんのレッスンをお引き受け出来るかどうかは、数回見させて頂かないとわからないと言うのが正直なところです。

最近は、障がい者もレッスンを行っている教室も増えてきているように思いますが、私はピアノが上手く弾けるようにレッスンを行いたいので、障害の有無に関わらず楽譜を読む為の理解力とピアノを演奏する為の器質的な能力がある方を対象にレッスンを行っております。

私は、これまでの経験から、保護者様のご協力が得られる方は、軽度の発達障害の方はレッスンが出来ます。

軽度か中度かは、医学的な基準ではなく、ピアノの指導が可能かどうかで判断をさせて頂いております。

発達障害の特性は悪化しないけれど、情緒は乱れることがあるとのことです。

情緒(心)が乱れるのは、基本的には二次障害です。

音楽は、人間の心と身体に作用して、人間の心を安定させ身体を健康にしてくれます。

ピアノで、心を育み心の安定を図りましょう!