病院や老人ホームなどで行われているボランティアのコンサートについて結城美帆子の考え。

病院や老人ホームなどで「患者さんや入所者に喜んでもらえたらとボランティアで癒しのコンサートをしております」なんて言う良い子ぶった人がいるようですが、たとえ無料と言えども責任のない下手な演奏を聴かされる患者さんや入所者は、たまったもんじゃないと思います。私の母は現在入院しておりますが、イタリアのスカラ座のオペラや藤原歌劇団のオペラを何度も聴きに行きましたし、一流と言われる人のリサイタルもたくさん聴きに行きましたので、趣味レベルの演奏は聴いていられないと思います。私は、どんな場合でも音楽を無料にしてはいけないと思っております。無料だから良いと言うものではないと思います。音楽の価値と質を下げて欲しくないのです。本当に良い演奏を聴かなければピアノの素晴らしさはわからないでしょう。下手くそな演奏を聴かせて欲しくないのです。国内のコンクールで1位になる人も、国際コンクールで1位になる人も死に物狂いで練習しレッスンに励んでいるのです。命がけでやっているから感動を生むのではないでしょうか。私は、趣味で楽しみたい方に教える時も専門的に学びたい方に教えるのと同じに真剣に教えております。「遊び程度に楽しみたいので」とレッスンを申し込んでくる方もおりますが、遊びで教えることなどできません。私も無料のコンサートを開く時もありますが出演者にはそれ相応のギャラをお支払いしております。ただし、片手間でご近所のお子様にピアノを教えている程度の方にはプロとは言えないので支払いません。アマチュアにギャラを支払う必要はないと思いますので。教室の発表会で特別演奏をお願いした時も当然それ相応のギャラをお支払いしております。ギャラをいただくことによりプロとして意識が高まり、より良い演奏ができるようになると思います。実は、若い時、一度だけ良いつもりになって老人ホームでボランティアの演奏をしたことがありました。その時、施設長さんから「何も出さなくでいい、と言われるのが一番困るんですよね。お茶とか食事とか用意しなければなりませんから」と言われて、花束をいただいて帰ってきましたから、老人ホーム側にしたら無料の演奏ではなかったのですよね。それ以来、いいつもりしてボランティアで無料のコンサートは致しておりません。責任ある演奏をし、責任あるコンサートを企画プロデュースさせて頂いております。