中学生1年生男子。
男の子は、小学6年生くらいになると、体も心も頭も著しく成長します。
夏から秋は、合唱の伴奏を頑張りました。
彼のピアノの実力を一番知っているのは、彼に導入期から継続してピアノを教えている指導者の私です。
通常は一人一曲伴奏をするそうなのですが、彼のクラスは伴奏者のオーディションに手を挙げた生徒が彼一人だったらしく、彼が2曲伴奏をすることになりました。
伴奏の楽譜を見せていただいた時は、彼の今の実力から考えると、相当の努力が必要であろうと思いましたが、彼なら頑張れるであろうとも思いました。
夏休みが終わり合唱の練習が始まっった時にも弾けるようになっていなくて、音楽の先生からも「いつまでに弾けるようになる?」みたいなお話もあったようで、追い詰められた精神状態にもなったかもしれませんが、私としては、指導者として、ギリギリどこで助け舟を出せば大丈夫と言う計算があったので、心配はしておりませんでした。
教育的観点から考えれば、人間の成長には追い詰められる経験も必要です。
苦しい経験、不安な経験をすることも重要と考えています。
2度ほど助け舟を出しましたが、彼は立派に伴奏をやり遂げました。
親御さんも心配だったと思います。
彼が次に挑戦したのは、バッハコンクールです。
伴奏の練習で相当時間を費やしてしまった為、バッハの練習が足りていなくて、コンクールの1ヶ月前になっても、何度も止まってしまい上手く弾けていない状態でした。
止まっても、何とか最後まで暗譜で弾くことはできるようにはなっていたのですが、コンクールで演奏できるような状態ではなかったのですが、頑張って弾いてきました。
頑張ってやり抜きました。
ブラボーです。
バッハコンクールも、追加レッスンを行えばもう少し何とかなったと思いますが、こちらはなぜ仕上がらなかったのか?どうすれば止まらずに弾けたかを考えさせたいと思ったので、あえて追加レッスンは行いませんでした。
親御さんも初めての経験で辛かったと思いますが、お子さんを信じて見守ってくださいました。
親御さんの中には、このような場合「棄権」とか「もうやらなくていい」と子どもに諦めさせてしまう方もおりますが、人生は上手くいかない時だってあるわけですから、上手くいかないからと諦めさせてしまったら、諦める人生になってしまうと思います。
子どものうちは、色々な経験をさせた方がいいです。
その経験が、必ず糧になりますから。
大人がしっかりついていれば、どんなに失敗しても大丈夫です。
私のピアノのレッスンは、ピアノを教えるだけではなく、ピアノ学習を通して人間として成長させることを目的としております。
〇〇君は、何があってもへこたれず困難を乗り越え自分の人生を生き抜くことが出来る人に育ってくれると思います。
子どもの心は、育てないと育ちません。
子どもの自殺者が過去最多となったのは、育て方に問題があったのではないでしょうか?
褒めて育てりゃ良い子が育つわけではないと思います。
小さい時から、厳しさを乗り越えさせる経験も必要ではないでしょうか?
そうすれば、辛いからと自殺をするようにはならないと思います。
この世に愛する人が一人でもいれば、その人を悲しませたくないと思えば、自殺に抑止力が働くはずです。
子どもにとって、最初の愛の対象は親御さんです。
「愛とは無を与えること」ジャック・ラカン