ピアノのレッスンを通して、生きていく力を育む結城美帆子ピアノ教室です。
昨日の中学一年生男の子のレッスンで気になったことがありました。
私のレッスンでは、演奏する曲のスケールとカデンツァとアルペジオを弾くように指導をしているのですが、〇〇君は指使いが正しく出来ていないので上手く弾けませんでした。
ハノンは、楽譜を見ながら弾くものではないのですが、〇〇君は楽譜を見て弾いていました。
ハノンは、なぜ楽譜を見ないで弾くのかと申しますと、テクニックをつける為で、手を見ながら弾けないとフォームや弾き方を直すことが出来ませんし、そもそも指使い(運指)にはパターンがあるので運指のパターンを覚えれば楽譜を見なくても弾けるのです。
〇〇君は、運指のパターンを考えていないから、そして覚えていないからスケールが上手く弾けないのです。
そこで、〇〇君に、「基本になっている指と音があるけど何の音かわかる?」と質問をしましたら、ずーっと考えているようで答えが出てこなかったので、「ピアノのレッスン以外でも、学校の勉強などでもわからない時ってあると思うけど、そういう時はどうするの?」と質問をしましたら、「自己解決」とおっしゃいました。
自分で解決しようとすることは大切で素晴らしいですが、「自分で解決できそうにない時はどうするの?」と質問をしましたら、「30分考えてわからない時は先生に聞く」とお答えになりました。
〇〇君が普段からそのようにしているかどうかは定かではありませんが、子供の発達障害の著書が多くある本田秀夫先生は、子供に教えておきたいスキルの一つとして「相談する力」とおっしゃっています。
〇〇君がスケールが上手く弾けない原因は、単に練習をしていないから、自宅練習でスケールをやっていないからではないかと思います。
〇〇君は、けして認知能力が低いお子さんではないと思うので、真剣に練習をすれば〇〇君の能力であれば30分もやればパターンを見つけられて弾けるようになると思います。
ピアノはやるべきことをやれば上手く弾けるようになるのですが、やるべきことをやらないで曲を弾こうとすると上手く弾けないのです。
弾きたい曲が上手く弾けるようになるために必要なことを教えるのがピアノのレッスンです。
ピアノはアナリーゼは時間が必要ですが、ピアノは認知(楽譜を読む)と判断(どのポジションで何の指で弾くか(判断)を考え弾く(操作)の連続で演奏します。
上手く弾けない場合には、「認知」「判断」「操作」のどこかに原因があります。
〇〇君の場合は、まず最初の「認知」が出来ていないのが原因ですから、まずは楽譜をよーく読むことが必要です。
ピアノを弾く前に楽譜をよく習慣をつけましょう。
「認知」「判断」「操作」の繰り返しは、社会の中にもたくさんあります。
例えば、車の運転も「認知」「判断」「操作」です。
これは、運転免許証の更新の講習の時に教わりました。
車の運転の事故の原因は、「認知」「判断」「操作」のどれかにあると教わりました。
ピアノ演奏と同じだと思いました。
ピアノ演奏は、楽譜の通りに弾けるのは初歩の初歩ですから、そこからが表現豊かな演奏をする為の学びになるので、車の運転より学びは深いです。
事故に遭遇した時も、まずは「認知」そして「判断」をして「操作」(行動)で、それを瞬時にできることが求められます。
生きていくためには、まずは認知能力が如何に大切かということです。
ピアノ演奏は、認知能力+非認知能力が必要でピアノのレッスンは認知能力と非認知能力の両方を育てることが出来るのです。
より豊かな人生のために、ピアノで生きていく力を育てましょう!