母の教え。結城美帆子

「女は男の倍働かなければならない。人前で泣いてはならない。」母は、いつも私より先に起きていて、後に寝てました。母が寝ているのを見たことがありませんでした。強い母でした。母が人前で涙を流したのを見たことはありませんでした。母だけでなく、祖母の涙を見たこともありません。私は、長女です。弟が一人おりましたが若い時に病気で亡くなりました。母も長女です。祖母も長女です。曽祖母も長女です。原戸籍を見ると色々なことがわかって面白いですよ。私の家は、私も母も祖母も曽祖母も、そのまた上の祖母の祖母もみんな長女で、昔の言葉で言えば総領娘なのです。女としての生き方を代々伝えられてきました。私の家の殿方は皆婿殿だったためなのでしょう、皆優しかったです。母が私にピアノを習わせたのは、男に頼らなくても生きていけるようにとの想いからです。「女は、家の事をやり、子供を育て、親の面倒を見て、旦那様の面倒も見なければならない。女は、男の2倍時間があっても足りない。」と、言われておりました。正直、女として生まれてきたことが嫌な時期もあり、母に反抗していた時もありましたが、今は、女性に生まれてきたことに誇りを持っております。女性にしかできないことがたくさんあります。女性にしか得られない幸せもたくさんあります。母の介護をしている時、介護をできる幸せ、女性としての幸せをしみじみ感じました。