心理学者エリクソンのライフサイクル論から。結城美帆子

エリクソンは、フロイトの末娘アンナ・フロイトに精神分析家としての手ほどきを受けた方のようです。

「アイデンティティ」「モラトリアム」など、よく知られた造語や概念を提唱された、発達心理学者です。

日本において精神分析は廃れつつあるように思いますが、外国では精神分析の書物や論文がたくさんあります。

向井雅明先生の東京精神分析サークルの会員は、論文を書いたりコロック(学会)を開催して頑張っているようですが、実践が足りないように思います。

コロックに参加していて、ラカン先生からの進歩を感じないのです。

児童精神科医の佐々木正美氏は、エリクソンに影響を受けた方のようです。

そんな佐々木正美さんの著書「子どもの心は  どう育つのか」の中で、おすすめしたい言葉がありました。

『乳児期「基本的信頼と安全の感情」誕生〜2歳」

人(親)を信じることは自分を信じることです。

親は子どもが望んでいるように愛することが大切です。

40年あまり前に欧米のある乳児院である実験が行われました。

深夜に授乳するのがいいのか、そうでないのかということです。

今日での決定的な結論は、授乳するほうが良いということです。

赤ん坊が望んだ場合には、授乳したほうが良いのです。

当時は、専門家の間でも議論があったそうです。

望んだことを、望んだとおり十分にしてもらえた子どものほうが、人を信じる力と自分を信じる力とを同時に豊かに身につけることができる。

人を信じる力と自分を信じる力、すなわち自信なようなもの、あるいは意欲のようなもの、これは表裏一体のものであることがわかってきました。

したがって、母親を信じる力が弱いということは、母親以外の人を信じる力ももちろん弱いですし、自分自身を信じる機能も身につきにくいということなのです。

深夜に授乳をしなかった子どもは、一般的に1週間ほどでほとんどの子が泣かなくなるようですが、忍耐強く育つということはなく、努力を放棄する子どもに育ったとのことです。

赤ん坊は、努力の方法というのは、泣くこと以外ないわけですから、そういう根気を簡単に投げ出してしまう人間、困難にぶつかった時に直ぐに諦めてしまうということがわかりました。

そして同時に周囲の人に対する漠然とした不信感と自分自身に対する無力感、自己不完全という感性を身につけてしまうのです。

ベイシックトラストを育てるためには、乳児期に乳児がどれだけ自分が望んだことを望んだように十分にしてもらえたかということが、大事なのです。』

以上、興味がある方は、著書を購入して読んでみてください。

老年期までのことが書かれております。

ラカンの精神分析の著書を読んでも共通すると思えることが書いてありました。

心理学や精神分析の論文を読むと勉強になりますし、ピアノの指導で悩んだ時などヒントになることもたくさんあります。

佐々木正美のお言葉……「その子らしさを愛してあげて」不登校、ひきこもり、摂食障害……生き辛さは、心の発達課題が鍵となる。

大人でも、心の発達に課題が残されたままになっている人もいるように思います。

生き辛さを抱えている方には、精神分析をおすすめ致します。

自分自身を見つめ直してみると良いと思います。

精神分析の作業は、けっこう辛い作業ですけどね。

『幼児期「自律性」(2歳〜4歳)……自分の衝動や感情を自制することと、社会のルールを守ることができるようになること。大人は繰り返し教えるだけ。その成果はゆっくり待っていてやることがいいのです。

児童期「自発性」(4歳〜7歳)……好奇心や探究心が開発される時期です。想像力や創造力の基盤であり、勤勉さにつながります。子どもの悪戯の多くは未知のものを探究するための実験です。

学童期「勤勉性」(7歳〜12歳)……周囲(社会)から期待されていることを自発的にそして習慣に実行することができるでしょうか。友人から学ぶことと、友人に教えることの意義は大きいです。そのためには、数多くの友達が必要です。

青年期(思春期)「アイデンティティ」13歳〜22歳……自分を客観視できるようになって、自分とは何者かを考えるようになります。そのためには、深く共感し合える友人を得ることが必要です。』

著書より抜粋。