共感。結城美帆子

母の在宅医療をお願いすることにした医師が1回目の診察にお越しになりました。その医師が、「患者さんの気持ちに共感することはできる」と申しましたが、私は「カウンセラーは共感的態度などと言いますが、精神分析ではありえない」と申し上げました。他者の気持ちに共感なんてありえません。私が、もし「あなたのお気持ち分かります」何て言われたらけどばしたくなります。精神分析家は「あなたの辛いお気持ち分かります」などとは言いません。むしろ「わかりません」と言います。ピアノのコンクールで日本一になった人に「あなたの気持ち分かります」何て言えません。なぜなら、私はピアノのコンクールで日本一になった経験がありませんから、わからないのです。日本一になれるまで努力ができなかったのに、わかるなんて言ったら失礼です。ただ、死ぬほど努力をしたのだろうなと思いますけど。頑張ったね、としか言えません。