全盲の生徒さんでも使えるピアノ教本

全盲の生徒さんでも使えるピアノ教本

これまで、弱視の方や全盲の方にもピアノを教えた経験があるのですが、全盲の生徒さんには、メトードローズピアノ教本を全て点字の楽譜にしてレッスンを行いました。

私自身も、点字を習い、点字の楽譜の読み方も習いました。

メトードローズとバイエルは、片手ずつの学習からなので、右手で弾く時は左手で楽譜を読みながら弾き、左手で弾く時は右手で楽譜を読みながら弾くことが出来ます。

片手で弾けるようになったら、1小節、またワンフレーズごとに、両手で弾く練習をします。

1小節、またはワンフレーズごとに、私が右手・左手・両手と手本を聴かせ、次に生徒さんが右手・左手・両手と弾きます。

両手で弾く時は、点字の楽譜を指で読むことが出来ないですから、覚えて弾くことになります。

一般的な生徒さんに教えるよりも時間はかかりますが、確実に弾けるようになります。

全盲の生徒さんにピアノを教える時は、私もアイマスクをつけて目が見えない状態でレッスンを行っていたのですが、生まれながらに全盲の人と、事故や病気で人生の途中から全盲になられた人とでは、頭の中で描かれることは違うだろうと思ってからは、アイマスクをつけての指導をやめました。

私はアイマスクをつけても、頭の中には五線譜の楽譜が浮かびますが、生まれながらに全盲の人は何が浮かぶのでしょうか?

障害がある方にピアノを教えることで、人間の原点を考えるようになり、どんなに相手のことを理解しようと努力しても出来ないことがあるということを思い知らされ、自分の愚かさに穴があったら入りたい気持ちになりました。

今は、導入期のピアノ教則本がたくさんありますが、障害がある人でも理解できる喜びが得られる教則本が、良い教則本と思います。

昔から使われているものは、それなりに良いからずっと使われているのではないかと思います。