他の教室から移ってきた生徒さんのレッスンがありました。結城美帆子

幼稚園の時からレッスンを受けていたと言う小学校低学年のお子さんです。他の教室から移ってきた生徒さんは、どう言うわけか、どの生徒さんも楽譜を見ながら弾けないのです。音符が読めない、指番号が正しく覚えていない。音をつないで弾くレガート奏法ができない、お指の指定席ができていないなどの方がほとんどです。どれもこれも、ピアノのレッスンを始める最初に教えることです。指導者は、生徒さんが覚えたかどうかを確認しながら確実に教えなければならない大切なことです。楽譜を見ながら弾くことは、ピアノを弾く基礎のはずなのですが、なぜなのでしょうか?楽譜を見ないで覚え弾きをしていると、覚えられなくなると弾けなくなりますので、ピアノをやめてしまうことになるのです。生徒がピアノをうまく弾けなくて途中でやめてしまうのは、指導者の責任です。ピアノは、積み木を積み上げるように教えていかないと、途中で弾けなくなります。他の教室の発表会を見せて頂くと、聴き栄えする曲目が多いのですが、「うちの教室に来ると、こんなに上手に弾けるようになりますから、ぜひご入会ください」と言う指導者のメッセージと欲望が見えてきます。実は、反省しておりますが、私も若かりし頃は同じように考えており、生徒さんには、ショパンやベートーベンを発表会の為に半年間も練習させておりました。生徒の為の発表会と言うより、指導者の為の発表会ですよね。でも、難しそうに聴こえる曲や、かっこいい曲、上手に聴こえてレベルが高そうに聴こえる曲を発表会で弾かせると、親御さんが喜ぶのです。子供は、曲を与えられた時は嬉しいと思うのですが、練習して行くうちにしんどくなってきて、最後は指導者が無理やり教え込んで仕上げさせることが多いのです。このような指導をすると、基礎が崩れてしまうのです。楽譜を見ながら弾く為には、目の動きも大切なのです。楽譜を目で追っていけることができないと弾けなくなります。ピアノは集中力が身につくと言われるのは、楽譜から目を離さないことを要求されるからです。集中力が途切れると、楽譜から目が離れて、今弾いているところがわからなくなります。ピアノが、脳に良いと言われている理由は、ピアノを弾く一連の作業が脳のあちこちを使うからではないかと思います。