今年は小澤征爾さんがお亡くなり、フジ子・ヘミングもお亡くなりになり、音楽が変化していくような感じを受けた一年でした。
幼児から参加できるピアノコンクールも、昨年までとは違っていたように感じましたし、コンクールに参加する人としない人の二極化になったように感じました。
私が生徒さんをコンクールに参加させるようになって10年少々ですが、コンクールの課題曲だけレッスンをしていると、本当の演奏技術テクニックを身に付けることが難しいのではないかと思うようになりました。
コンクールの課題曲をやっていると、練習時間は限られているので、エチュードをやる時間がないので、全くチェルニーを学ばない生徒さんも出てきてしまいます。
ピアノの演奏技術を身につける為には、やはりチェルニー100番でトリルやプラルトリラー・ターン・モデラントなどの奏法を学び、チェルニー30番でより基本の弾き方を学び、チェルニー40番で磨きをかけ、クラマー、ショパンのエチュードと学ばれた方が確実に演奏技術を身に付けることが出来ると思います。
エチュード(練習曲)を学びながら、楽しみとしてコンクールの課題曲を学び、自分の演奏を客観視することを目的に、励みとしてコンクールに参加されると良いのではないかと思います。
結果を求めてコンクールに参加するのは如何なものか?と思うようになりました。
ピティナピアノコンペティションで全国決勝大会出場を目指しているピアノ教室の生徒さんたちは、予選で5か所申し込みをしています。
私は、予選は1か所、1回受ければ良いと思っています。
本当に実力がある人は、一回で通過できるはずですし、もし通過できなかったとしても、それが実力ということです。
本来コンクールは一発勝負です。
一回に全てをかけるのが本当のコンクールです。
何度も受けられるコンクールは、コンクールビジネスとしか思えません。
結果と目的は違います。
自分が好きで楽しんでやっていると、結果として思わぬ成長を遂げたりすることもありますが、親がやらせたいと思って無理やりやらせると大成しないことがあります。
始めから結果を目指して頑張っても、結果を目指すプロセスが楽しくないと途中で挫折してしまいます。
コンクールは、楽しさの延長で励みとして参加しましょう。
これまでコンクールの選曲はコンクールに強い先生にご相談申し上げて選曲をしておりましたが、来年からは生徒さんご自身が自分で参加したいコンクールを選び自分で弾きたい曲を選び参加しましょう。
もちろん、ご相談にはのります。
1年間のスケジュールを立てて参加しましょう。
小さいお子様は、発表会としてコンクールへの参加をお勧めしますが、親御さんは競争心を抱かないようにしましょう。
ピアノは、人前で演奏することで演奏力が高まり人間として成長することができます。
一生懸命に練習した成果を多くの人に聴いてもらうことって、気持ちが良いですし、自己顕示欲が満たされます。
音楽っていいですよ。
ピアノが弾けるのっていいですよ。
震災や災害で形あるものは無くなったりもしますが、心は生きている限りなくなりません。
震災や災害が起きても、未知の感染症や病が発生しても、人間の豊かな心があれば生き延び再生することができます。
人類は、そうやって死と再生を繰り返してきたのですから。
人間の心を育てることを忘れなければ大丈夫です。
結城美帆子のピアノ教育の目的は、ピアノの指導を通して、生涯に渡りピアノを楽しく続けていける確かな演奏技術と人間力を育み生きていく力を育てることです。
これからも、災害や感染症などで通常のレッスンができない時が来るかもしれませんが、ピアノを学ぶ真の価値がわかっていれば何の心配もないです。
ピアノのレッスンの価値とは、人間を育てることにあると思っています。
ピアノの先生とは、常に音楽家であり、常に教育者でなければならないと思っています。
教育者である為には、自分自身が自分を律し生活をしなければならないと思っていますので、来年も1年間健康で皆様のレッスンが出来るように、食事・運動・睡眠に気をつけて無理をせず生活をしたいと思います。