ピアノを教えることの難しさ。結城美帆子

趣味で楽しみたい方も、専門的に学びたい方も、導入期の指導は同じなのですが、レベルが上がると求めるものが異なってくるので、本人が求めているレベルを把握し指導をしなければなりません。生徒本人が、子供の場合は親が望んでいるレベルの把握も必要ですが、子供も親も楽譜を見て弾けるようになれば良いと思っているのに、指導者が、子供に音楽的な才能がありそうなので伸ばそうとして、コンペティションやコンクールへの参加を勧めても、本人も親も望んでいない場合、本人にとって、コンペティションやコンクール向けのレッスンは苦痛になり、場合によっては、ピアノが嫌いになり、やめてしまうことにもなりかねません。反対に、子供がコンクールやコンペティションに参加したいと心の中で望んでいても親にも指導者にも本心を言えないでいる場合は、子供のピアノに対する意欲を無くしてしまい、せっかくの才能を伸ばせず潰してしまう場合もあるのです。求めるものにより楽しむ指導内容も指導方法も変わりますので、レッスンが上手く行く為には、生徒さんが(子供の場合は生徒さんと親が)、望んでいることを知ることが、とっても大切なのです。音高音大受験生をメインに指導していた時は、いちいち聞かなくても合格させれば良いわけですから、音高音大受験生の指導は、とても楽でした。趣味で楽しみたい方の場は、レベルも望まれることも一人一人違う為、一人一人オーダーメイドの指導案を作成する必要があるので、レッスンの時間外に指導法や教材を考える時間が必要なので、音高音大受験生の指導やコンペティション・コンクールに参加する生徒さんの指導よりも神経も労力も使いますので、けっこう大変なのです。特に、初心者導入期の指導の善し悪しが、生涯のピアノライフを大きく左右しますので、すごく神経を使います。生徒さんの理解力や認知能力、運動能力なども把握しなければなりませんので、レッスンが軌道に乗るまでに3ヶ月位は必要なのです。軌道に乗ってしまえば楽なのですが、軌道に乗るまでは試行錯誤しますので、けっこう大変ですが、生徒さんが弾けるようになると苦労は吹っ飛びますし、ピアノを教える仕事をしていて良かったと思うのです。あとどれくらい続けられるかわかりませんが、これからも、より多くの人たちにピアノを教えて、ピアノを弾けるようにして、ピアノが弾ける楽しさを伝えたいと思います。ピアノは、楽しみながら認知症ができます。