本日も結城美帆子ピアノ教室のブログにご訪問頂き誠に有難うございます。
本日は、私がピアノの指導をする上で大切にしていることを書かせて頂きます。
基本はしっかり教えますが、本人の個性を大切にしており、一方的に教え込むような指導ではなく、本人が考えて本人に本人の音楽を創れるように導いております。
コンクール出場者をメインにレッスンをされている指導者の中には、指導者と同じように弾けるようにすることを強いる指導をされている指導者もおりますが、私は「どうなのかなー」と思っています。
基本はすごく大切です。
最初は何もわかりませんから、真似をすることから始めますが、最終的には自分のオリジナルが出てこないと真の学びにはならないと思うのです。
私が学生だった頃のお話ですが、「演奏を聴くと誰に指導を受けているのかわかる」と言われてました。
イタリアの先生は、「日本人の演奏は個性が無いねー」と仰ってました。
もう40年以上も前のお話ですけど。
これが、私の指導の原点なのです。
音楽の本質とは、音で何かを表現することなのです。
何かとは、情景だったり、気持ちだったり、風景だったり、愛だったり、色々です。
思いや感じることは、人それぞれですから、同じ演奏にならなくても良いのです。
むしろ、同じ演奏になったらおかしいと思います。
自由に表現できるように、知識とテクニックをつけ、感性を育てることが、私のピアノ指導者としてのミッションと心得て、日々レッスンを行っています。
なので、兄と妹で、同じ曲を演奏しても、違う仕上げになるのです。
只今、生徒さんの演奏動画をホームページに掲載する準備をしていて、昨日、兄と1歳違う妹さんのバッハインベンション1番の演奏を聴いたのですが、二人とも私が教えて同じ指導をしているのに、お互いの個性が溢れる演奏になっています。
これが、ピアノの面白いところです。
音楽に正解はないので、違っていいのです。
特にバロックは、研究者によっても解釈が様々なので、基本的なことが出来ていれば解釈が違っても良いと考えておりますので、バッハは、音符しか書いていないヘンレー版をの楽譜を購入して頂いておりますので、フレージングや弾き方が変わってくるのです。
このお二人も、10年後にバッハインベンション1番を弾かれると、テクニックも感性も成長していると思いますから、感じ方も変わり違う演奏になっていると思います。
ピアノを生涯学び続ける面白さは、ここにあるのです。
演奏で、心と身体の成長を感じることが出来るのです。
そして、自分自身で心と身体の不調を感じることもできるのです。
これこそが、ピアノを学び続ける最大の良いところなのではないでしょうか?
私は、音楽の勉強のほかに、人間を知るために医学・心理学・精神分析学を学んできましたが、生徒さんの演奏を聴くと心と身体の状態がわかるようになりました。
生徒さんは子どもも大人も、疲れていても「疲れた」とは言いませんし、疲れて眠くても「眠い」とは言いませんが、疲れている時は疲れている音を出しますし、眠い時は眠い音を、心配なことがある時は安定しない弾き方をしますし、力んで弾いたり、フワフワした音で弾いたり、さまざまな表現で演奏します。
ピアノの指導に精神分析を応用するならば、分析家(ピアノ指導者)は、自分が鏡となり生徒さんに返してあげることで自分の心に気づくこも出来ます。
最後までお読み頂き有難うございました。
今日も素敵な一日になりますように!