ピアノは、①「認知」(楽譜を読む)・②「判断」(定位置で弾けるか?拡げるか?寄せるか?潜るか?跨ぐか?判断します)・③「操作」(指を動かして弾く)、この繰り返しで弾けます。
もし、ミスをしたり間違う場合には、3つのどれかに原因があります。
今度の日曜日にコンクールを受けに行く中学生の〇〇さんは、頑張って練習して、楽譜を見ないで弾けるようにもなったのですが、何度も弾き直しをしてしまいます。
〇〇さんは、正しい音で弾けているので①の認知は出来ているのですが、何の音を何番の指で弾くためには指をどれだけ拡げれば弾けるのか?寄せるのか?潜るのか?跨ぐのか?の判断をせずに、行き当たりばったりで指を操作してしまうので、何度も弾き直しをしてしまうのです。
〇〇さんの何度も弾き直しをしてしまう原因は、②番の判断が出来ていないか?判断をすっ飛ばして弾いているかです。
私が見る限りに判断を考えずにすっ飛ばして行き当たりばったりで指を動かしているように思えますが、レッスンでは、正しく弾けるように弾き方を教えていますが、一人で練習する時に自覚して練習ができるかどうかなのです。
ピアノは、結局のところ脳で楽譜を見て脳で判断して脳で指を動かす指令を出して弾きますから、一度でも間違った弾き方をしてしまうと間違った神経回路が出来てしまうので、可能な限りゆっくり弾いて間違った神経回路を作らないように練習することが無駄なく上達できる近道なのです。
一度できてしまった神経回路を消すことは非常に難しく、むしろ消せないのではないかと思うので、最初はゆっくりで良いので正しく弾くことが大事なのです。
一度できてしまった神経回路を消せないと思ったのかと申しますと、知能指数が43という重度に近い知的障害のお子さんにピアノを教えいる経験からです。
この生徒さんは、言葉を教えても意味の世界にまでは入ることができていないので、意味をわかるように別の教え方を試すのですが、前に教えた単語が出てきて、教えれば教えるほど混乱してしまうようで、まるでオウムが単語を喋っているようにさせ感じることがあります。
自閉症の特徴の一つに、「オウム返し」がありますが、こういうことなのではないかと思います。
学習能力が普通にある方は、「認知・判断・操作」は出来るはずですから、きちんと正しく判断をして操作をするようにしましょう。
レッスンでは、正しい認知の仕方、正しい判断、正しい操作を教え、生徒さんが正しくできているかどうかを観察して、できていないところがあれば、そこを取り出してできるまでレッスンします。
レッスンは、この繰り返しで進んで行き、レッスンが進むにつれ上達していきます。
レッスンの最終目標は、指導者がついていなくても、自分で正しい練習ができるようになることです。
練習の最終目標は、練習をしなくても上手く弾けるようになることです。
ピアノを習い始めた頃に習ったバイエルの最初の頃の曲は、今は練習をしなくても弾けるようになっているはずです。