ピアノの初心者のレッスンで大切にしている事。結城美帆子

基礎をしっかり教える事を大切にしております。

ピアノは、楽譜を見ながら弾きますので、手を見ないで指を動かす事から始めます。

ピアノを弾き為には、空間認知能力も必要なのです。

空間認知能力や想像力が無いと、手を見ないで指を動かす事が出来ないようです。

発達障がいの方や、隠れ脳梗塞がある方は、自分の頭で指示した通りに自分の指を動かす事が出来ない人もおります。

ピアノを弾くという行為は、頭と体をフルに使いますので、普通にピアノが弾けない場合、どこかに何らかの問題があるかもしれません。

私は、色々な障がいをお持ちの方へのピアノのレッスンも30年近く行って参りましたが、少し前までは「個性」という位置ずけで教えていて少しづつでも出来るようになるようにというスタンスでレッスンをしておりましたが、最近は違うのでは無いかと思うようになってきております。

ピアノは、努力で弾けるようにするものでは無いと思うようになっているのです。

もし、努力をしなければ出来るようにならないのであれば、それは向いていないのかも知れません。

以前、音楽大学の教授の2人のお孫さんにピアノを教えていた事があるのですが、この教授から「努力をしなければ出来ないようであれば、それはその子供に向いていないからやらせないほうがよい」と言われたことがありました。

本当に実力がある人は、ピアノを弾くのが好きだからピアノを弾いているだけなのです。

ショパンコンクールやチャイコフスキーコンクールなど国際コンクールで金賞受賞をしている人たちも努力はしているけど、子供が親や先生に言われてしている努力とは違うと思います。

彼らは、努力を努力と思えなくなるような努力をしていると思います。

一般的な人間は、そこまでの努力に達する事は難しいでしょう。

東京藝術大学へは努力で合格できる可能性はありますが、才能が無い人はそこまでになるようです。

東京藝術大学を卒業しても演奏だけで食べていけない人がたくさんいる理由ではないでしょうか。

この年になると、子供の頃から見てきたピアニストもおりますので、本当に才能があった子は現在演奏家として活躍をされております。

ピアノの牛田さん、バイオリンの服部さん、指揮者の渡邊さん、ピアノの反田さんなどは、彼らが子供の頃から見させて頂いておりますが、努力を通り越していますよね。

ピアノを楽しむことを味わうことが大切ではないかと思います。

できる事の積み重ねができるようにしてあげることが指導者の腕の見せ所ではないかと思うようになっております。

努力をしなければ出来ないのは、背伸びをしているからでしょうね。

本人が「あれ、いつの間にか上手く弾けるようになっちゃった」と思える指導が優れた指導で、それをできる指導者が優れた指導者ではないかと、この頃思います。

本人は努力をしているという感覚ではなく、弾いているうちに上手く弾けるようになっている感覚、ただピアノを弾きたいから弾いているという感覚でレッスンが進んでいくことが理想なのではないかと、この頃思います。