ピアノの先生の介護日記。結城美帆子

看護師から「全介助のお母様をご自宅でお一人で介護をするのは無理です」と、言われるのですが、私の生徒で社会福祉士の人も同じようなことを言いますが、自分を産んでくれて一生懸命に育ててくれた母を娘が自宅で一人で介護できない国であるならば、この国の未来は無いでしょう。女性の立場として、母がたとえ看護師とは言え、排泄の世話を男性にされている姿を見るのはしのびないです。私が介護の勉強をしていた30年前は、原則「同性介助」と言われていたのですが、ずいぶんとかけ離れてしまったように思います。何でもかんでも平等が良いと言うわけではないと思います。尿路感染の予防のためになのでしょうが、男性の看護師2人に、陰部を広げられて洗われている母の姿を見ているのは、母の気持ちを思っても、恥ずかしいでしょうし、情けないでしょうし、まるで強姦されているようです。やはり、入り込まないほうが良いと言うこともあるのではないでしょうか?男性の助産師もいるのでしょうか?一年に一度乳がん検診でマンモグラフィーをしておりますが、今まで一度だけ男性の検査技師にあたってしまい「女性の検査技師に変えてください」とも言えず嫌な思いをしたことがあります。検査技師とはいえ、知らない男性に素手で乳房を触られるのは嫌なものです。看護師とはいえ、知らない男性に陰部を触られるのは嫌だと思います。私は、絶対嫌です。自分の旦那様にだって便器を当てられたりするのは嫌ですね。陰部を洗われるのなんてとんでもない話です。私の先輩のピアノの先生も自宅で一人でお父様お母様を介護されましたし、あの方ができたのですから私にもできると思うのです。お父様は、ある有名な大学の学長をされた方で、お母様はもともと車椅子で生活をされている方で版画家でしたが、ヘルパーさんに来ていただきながらお家でお世話をされて、ご自身は自宅と音大でピアノを教えており、お仕事をしながらご自宅で最期まで介護をされておりました。今は、自分の演奏活動はできませんが、いずれ介護が終焉を迎えたとき、母の介護の経験が私の芸の肥やしとなり、再び演奏活動を再開したときには、今まで以上の演奏ができると思います。今は、学びのときです。