ピアノって。結城美帆子

今は、ピティナピアノコンペティションの真っ最中ですから、参加している人たちは練習練習の日々を過ごしているのではないかと思います。

先生たちは、指導者賞や特別指導者賞を目指して日々奮闘しているのではないでしょうか。

ピアノって何なのでしょうか?

私は、母から絶えず言われていたことがあります。

「世の中には、ピアノを習いたくても習えない人もいることを忘れてはいけない。ピアノを弾きたくても弾けない人もいることを忘れないように。ピアノを習いたくても家庭の経済的な事情で習わせてもらえない人や、経済的な事情でピアノを買ってもらえない人もいるということを忘れてはいけない。」と。

「勉強をしたくても、家の仕事をしなければならないので、学校にも行けなかった人がいたということを忘れてはいけない。」

私は、ピアノが弾けることを幸せに思って育ちました。

私は、ピアノが弾けることに感謝をして育ちました。

私は、学校へ行って学べることを幸せに思って育ちました。

私は、学校へ行って学べることに感謝をして育ちました。

だから、ピアノの練習をしたくないとか、勉強がしたくないとか、思ったことはありませんでした。

当然、親から「練習しなさい」とか「勉強しなさい」とか「宿題やったの」などと言われたことは一度もありませんでした。

母の教えは、高校の音楽科の主任のHO先生の教えにもありました。

HO先生は、卒業の時に「卒業生全てがピアニストやオペラ歌手になるわけではない。君たちは、音楽の伝道者になるのです。」とおっしゃいました。

私が通った高校の音楽科には3人の教諭がおりましたが、私たちはお給料が出ているからといって、放課後や夏休みのレッスンは無料で行ってくださいました。

私が子供だった頃は、地域のママさんコーラスや児童合唱団の指導などは、ピアノや歌を教えている先生が業務外として無償でやっていたのです。

ピアノを無償で教えるのは、施しになってしまうので、人間の尊厳を考えるとできませんが、若い頃は、ピアノを購入された生徒さんがいると、ピアノを購入する前に練習に使っていたオルガンをお譲り頂いて施設に寄付をさせて頂いておりました。

ピアノは、誰でも楽しめるものです。

経済は、需要と供給で成り立ちますかが、ピアニストを目指すわけでもない人が幼児や小学生の頃から、ピアノのレッスン料に1ヶ月10万円以上も支払う価値があることなのか疑問に感じております。

将来ピアニストにしたいと親が願えば、専門家を目指すのであれば、月10万円くらいは普通ですが、趣味の場合は、、、、。

ちまたのピアノの先生は、月5,000円くらいのレッスン料の方もおります。

ピティナピアノコンペティションは、月5,000円くらいのレッスン料を支払っている人と、月10万円のレッスン料を支払っている人が、同じ課題曲を同じ舞台で演奏するのです。

需要と供給ですから、安い先生を好まれる人もいると思いますが、安ければ良いというものでもないと思うのです。

私がピアノを教え始めた頃は、ヤマハやカワイのお月謝を基準にしていたと思いますが、今は個人宅でピアノを教えている先生が増えましたので、生徒さんを集めるために新しい先生たちは、お月謝を安く設定される傾向にあるようで、教室に特徴がない教室は安さを売りにするしかないですから、どんどんお月謝が安くなり、ピアノのレッスンの価値が低くなっているように感じます。

私の教室は、自閉症スペクトラムの子供のレッスンもしておりますので、作業療法の医療保険点数と同額程度で料金設定をしております。

なぜなら、ピアノの指導も専門的な知識と経験がないとできないことであり、けして作業療法よりも価値が低いとは思えないからです。

作業療法の医療保険点数は、一単位20分で6歳未満が225点、6歳〜18歳が195点、それに再診料72点が加算されますから、20分で297点、267点、10割負担だと金額にすると20分で2970円、2670円になります。

当教室は現在、月4回の方は30分2,000円〜3,000円ですから、作業療法よりも安いのです。