つくば市にピアノ教室を開室する時、音高音大受験生がわかりやすく学べるようにと、音高音大のレッスン室と同様にグランドピアノ2台でのレッスンを始めました。
グランドピアノ2台での利点は、一緒に弾きながら教えることが出来ることです。
でも、導入期や初心者のレッスンでは、2台は必要ないような気がしています。
その理由は、ピアノは一台一台音質や音色・音の響きが違うのですが、導入期や初心者は同じピアノで弾いてあげないとダメなように思うのです。
特に、ご自宅で電子ピアノやアップライトピアノで練習をしている生徒さんの場合には、音質や音色・音の響きの違いがわからないような気がします。
同じピアノで弾いてあげて、指導者と同じ音が出せるように、まずは耳を作ることから始めることが必要ではないかと思うようになりました。
自分が当たり前と思っていることが、当たり前じゃないということが、たくさんたくさんあるようです。
ピアノを習い始めた生徒さんの中には、小さい音と大きい音の違いがわからない方もおりますが、経験や学習によって認識するようになるのではないかと思います。
普段の生活の中で、小さい・大きい、高い・低い、上・下、右・左、横・縦、遠く・近く、などなどを学習しなければ、音楽はこれらを音で表現するのですが、表現のしようがありません。
音を聴く基礎が出来るまでは、同じピアノで弾いてあげた方が、生徒さんは理解できるのではないかと思いました。
以前は、生徒さんと同じピアノを弾くことはなかったのですが、感染症の予防の観点からも2台ピアノのレッスンの方が生徒さんとの距離も保てるので良いと思っていたのですが、最近は導入期から初級の生徒さんのレッスンでは同じピアノを弾いてレッスンを行っております。
中級くらいになると耳が育ってくるので、違うピアノで弾いても音質や音色の違いがわかると思うので、2台でレッスンを行っております。
ピアノが上手くなるかどうかは、耳で決まると言っても過言ではないのです。
絶対音感があるのが良い耳ということではないのです。
もっと細かいところ繊細な音を聞き分けることが出来る耳が良い耳なのです。
自閉スペクトラム症の方の中には、音に敏感な人もおりますが、敏感というより繊細なので、美しい音や心地の良い音を聴かせてあげると良いと思います。