ほめて育てる弊害。結城美帆子

ピティナピアノコンペティションの課題曲が発表になり、選曲する時に、まず、本人に課題曲を聴かせて「〇〇ちゃんは、どれが良いと思いましたか?どの曲を弾いてみたいと思いましたか?」と聞きます。なぜ、その曲が良いと思ったのか、理由も聞きます。〇〇ちゃんと、〇〇くんに「なぜ、この曲が良いと思ったの?」と聞くと、「簡単そうだから。こっちは難しそうだから、簡単そうな方が良いと思った。」とお答えになりました。アドラー心理学では、ほめない子育てと言うことを言われております。結果をほめられて育てられた子供は、失敗を恐れて新しいことにチャレンジしなくなったり、自信がないものはやろうとしないようになってしまうそうです。私は、約20年シェパード犬をメインにした犬の訓練をしており、警察犬の委託試験にも合格させてきた経験からですが、犬は餌と言うご褒美と褒めることでしつけをして育てます。犬の最初の訓練は、服従訓練なのですが、お座り「すわれ」と言ってできたらご褒美に犬が大好きなジャーキーを食べさせ「グット」と言って体をさすって褒めるのです。犬の高等訓練は、攻撃を教えます。服従訓練がしっかりできていないと大変なことになります。犬は、元々本能で攻撃性を持っていますから、命令により犯人を威嚇したり攻撃したりさせることができるのです。もし、服従訓練がしっかりできていなくて制止ができない場合は、人間が飼うことが不可能になりますから、殺すしかなくなるのです。犬は、高等訓練で失敗すると、処分殺すしかなくなるのです。犬のほめて育てた結果の行く末です。ほめて育てられた犬は、たえず人間の顔を見ます。人間の顔色を見るのです。人間の子供でも見かけませんか、先生の顔色ばかりを伺っている子や、親の顔色を伺っている子、たえず周りを気にしているような子供を見かけると思います。当教室にも、たえず親の顔色を伺っているお子様が数名おり、とても気になります。例えば、自分で上手く弾けないと思うところに来た時は、弾くのを止めてしまったり、親の方を見たり、親にほめられないこと(できないこと)は、避けるようになるようです。ほめて育てると、ほめられることしかやらなくなるようです。けして、ほめるのがダメと言っているわけではありません。ほめっぱなしがダメなようです。ようするに、ほめ方が大切なのです。結果をほめるのではなく、できなかったことが、努力をしたことにより、頑張ったことによりできるようになったと言うことをほめてあげると、新しいことに挑戦できる子に育ってくれるのではないかと思います。実は、私は犬を育てている時、犬を餌で釣るような育て方は致しませんでしたが、警察犬の委託試験に合格されることができました。始めた時は何もわからなかったので、シェパード犬の訓練で日本一になった訓練士に犬を預けて訓練を教えていただいたのですが、とてもお利口さんな犬になったのですが、とても神経質な犬になってしまって、私の元では暮らせなくなってしまった犬がおりまして、自分で訓練方法を考えました。ご褒美をあげると言うことは、もらえないと言うこともあるわけですから、結局、飴と鞭なのです。ほめて育てると言うことも、できたらほめて、できなかったらほめないわけですから、飴と鞭ではないでしょうか。心を持つ人間を、飴と鞭で育てるのはいかがなものでしょうか?私は、犬を育てる時、飴も鞭も使いませんでした。できたらご褒美のジャーキーをあげるようなことは致しませんでした。犬たちを、部屋の中で自由にさせておりました。シェパード犬やピレニアンマウンテンドックなど大型犬からチワワやポメラニアンなど小型犬まで8犬種10頭前後が部屋の中におりました。共同で生活をしていると、その中でお互いに自分が生きるためにどうすれば良いのかを学ぶのです。オスメス一緒に飼っておりましたが、一度も間違いを起こしたこともありませんでした。犬は群れで生活をしますから、ボスがしっかりしていれば、発情期の犬がいてもマウンテングを抑制できますので、間違った交配をすることも一度もありませんでした。つくばの教室にも4頭の犬がいたことがあったのですが、最後の時間にレッスンに来ていた生徒さん以外は、どなたも犬がいることを気づかなかったようです。犬たちはレッスンが終わるのを静かに待ってました。私の一杯の愛情で育てたからです。最後の生徒さんがなかなか帰らないと「早く帰れ」と言わんばかりに鳴き出すのです。とてもお利口さんな犬たちでした。愛情があれば、飴も鞭も必要ないです。