「川崎3人転落死」地裁の精神鑑定で自閉症スペクトラムと診断された元施設職員に死刑判決が下されたことについて。結城美帆子

先日の東京精神分析サークルコロック(研究会)での岐阜大学教授久保田先生の発表が頭に浮かびました。今井隼人被告が自閉症スペクトラムであるとするならば、真実はわかりませんが、あり得ることかも知れないと思いました。私が20年間で指導してきた自閉症スペクトラムの親の中には「うちの子のどこが変なんでしょうか?どこも変わらないと思いますが」とおっしゃる方が多かったのですが、明らかに定型の子供とは違うのです。個性個性と言いますが、確かに個性も大切ですが、個性を伸ばすだけでは社会生活は出来ません。私自身も、以前は、個性を大切に伸ばすようにレッスンをしておりましたが、今は違うように思います。人間は、一人では生きていけませんから、社会性を育てないと幸せに生きて行くことは難しいのではないかと思うのです。【自閉症スペクトラム(ASD)は言説の外部にあり、それゆえASDには想定される知としての「無意識」ではなく、あるいはむしろそれは定型者にとっての「無意識の現れ」そのものである(もはや彼女・彼らの無意識ではない)。】と久保田先生の発表の中にありました。私は、20年以上自閉症者にピアノを教えてきて思うのですが、自閉症者に大切なのは個性を育てることではなくて、主体性を如何に引き出し自分の言葉として話ができるように導くことが大切なのではないかと思います。自閉症者と接していると、まるでつかむことが出来ない幽霊のような存在に感じる時さえ有ります。私は彼らであって、彼らは私のような、鏡が存在するかのように感じる時も有ります。認知症の人自身も定型の人には想定できないことを言う時も有りますから、自閉症スペクトラムの今井被告に認知症者の言葉が反転したならば、あってもおかしくないことだったのではないかと思いました。人間が人間らしく社会生活を送るためには、心を育てることが大切ではないでしょうか?健常者も障害者も心・感性を育てることが大切ではないかと思います。感性は、幼児期から児童期の親子や指導者兄弟姉妹などみじかな人との感動体験が多ければ多いほど育つとのことです。特に幼児期の感動体験は重要と言われております。成功体験も大切かも知れませんが、一番みじかな親と子で感動を体験することが心が育つ感性が育つもとになるのです。ピアノ教室でも、なるべく多く感動体験をさせたいと思います。向井先生は、自閉症者は心が無いとは言いませんので、自閉症の子供を育てている親御さん安心してお子様の心・感性を育てましょう。向井先生は、フランスに25年滞在してラカンの精神分析を学ばれてきた方で、日本においてラカン研究の第一人者です。